【レビュー】部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書 出口 治明【書評】
投稿日: 2017/01/21 更新日: 2017/10/22
ビジネス・経済
書籍名 | 部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない |
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著者 | 出口 治明 |
定価 | 1,400円(税抜) |
発売日 | 2013年11月22日 |
出版社 | 角川書店 |
サイズ | 四六判 |
ISBN | 978-4-0411-0617-4 |
「人間ちょぼちょぼ主義者」だからこそ任せられる。
本のタイトルは「任せ方」とありますので、具体的なテクニックが載っているのかなと思い購入しました。
しかし、読んでいるうちにテクニックよりも人間性がよく表れている本だということがわかりました。
著者の出口治明(でぐちはるあき)氏は、「人間ちょぼちょぼ主義者」だそうです。
要するに、「人間の能力は、それほど高くはない」「人間には、とくに賢い人も、とくにアホな人もいない。ちょぼちょぼである」と考えています。
・・・
何事かを成し遂げようと思っても、一人では何もできない。ビジネスを成長させるためには、他人の力を借りなければならない。
・・・
だからこそ、任せる。だからこそ、補い合えるチームづくりが必要です。
引用 - 部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書
私が思うに、出口氏の人徳が部下を育て、結果的に人の上に立つ人間になったのではないかと思いました。
「驕れる人も久しからず」という言葉があるように、傲慢になってしまうと必ず立場を失ってしまいます。
本書には任せ方の具体的なテクニックも書かれています。
その具体的なテクニックが人徳を育てたのか、人徳があるのでテクニックが備わったのかは定かではありませんが、両面からの目線を持って読んでみると面白い一冊です。
本書の章の構成は次のようになっています。
- 上司になったら「任せるしくみ」をつくりなさい
- デキるリーダーは常に「いい任せ方」をしている
- 「プレーイング・マネージャー」になってはいけない
- この上司力で「チームの実力」を一気に上げる
- 「時間を殖やす」「成果を殖やす」人材マネジメント
なぜ任せないといけない?任せるにはどうしたらいい?
1章では、なぜ任せないといけないかが書かれています。
2章以降は、具体的な任せ方のテクニックが書かれています。
所々に兵法の教えが出てきます。
著書の出口氏はライフメット生命のCEOですので、経営にあたり学んできた事柄なのでしょう。
説明には図解を多く使われていますので、PowerPointの資料を見ているようでわかりやすいです。
また、経験談をもとにした話で構成されていますので、説得力を感じました。
テクニックに関しては数多くのものが書かれていますので、特定のポイントは見出せませんでした。
読んでいくうちに心に留まったものだけ覚えるか、まとめてみないとすべては把握できないような気がします。
内容はどれも具体的で論理的でしたので、個人でまとめてみるのも良いでしょう。
※追記
図解版が出版されていました。
まとめにはこちらが適切かと思われます。
では明日から任せられるかどうか
任せ方のテクニックは数多く書かれています。
具体的で論理的でしたので、実践は可能だと思います。
ただ、いきなり全部を実践することは難しいでしょう。
本書でも時間がかかる旨の話が、次のようにあります。
「適材適所」は、口で言うほどやさしいものではありません。なぜなら、上司が、
①部下の適正(向き・不向き、得意・不得意、尖っている部分)
②周囲の状況(いまが、どのような局面なのか)
を察する能力=「洞察力」を持っていないと、実現できないからです。
・・・
洞察力を身につけたいなら、経験やインプットの蓄積が不可欠です。
引用 - 部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書
この洞察力を身につけるための方法論も書かれていますが、少々時間がかかりそうなものでした。
著者の出口氏は約60歳で本書を書いていますので、なかなか一朝一夕でできるようになる内容ではないかもしれません。
時間をかけて実践していくような本だと思います。
洋ちゃんのまとめ
著者の人徳がうかがえる。
人徳があるから任せられたのか、上手な任せ方をして人徳がついてきたのか。
任せ方のテクニックが具体的かつ論理的。
時間をかけて実践していこう。
総合評価 | 4点 | ||
読みやすさ | 読みにくい | 5点 | 読みやすい |
実用性 | 時間がかかる | 4点 | 今すぐ使える |
お値段 | 高い | 4点 | 安い |
(0点 ~ 5点) |